渓流朝しぼり出品貯蔵酒

この世の中に、この2種の酒があれば他は無くなって良いと思えるお気に入りがある。ひとつは以前に書いている「お立ち酒」と、もうひとつがこの渓流朝しぼり出品貯蔵酒だ。
この2銘柄の蔵元はまったく別の場所。呑み口も例外的な人はいるにしても、一般的に云えばまったくの別ものだ。お立ち酒が端麗であるとすると、この渓流朝しぼりは濃厚な口当たりと断定して間違いない。ただ共通して云えるのは、米の旨味を生かした雑味の少ない後味の良い酒であると云う事。
この渓流朝しぼりの兄弟と云える「吟醸渓流」は以前に呑んで書いたが、あまりいただけない。米を磨いた吟醸なのにっ!! と思ったりもするが、米を磨いた吟醸だけにごまかしが利かない。精米歩合の低い酒なら米の味に隠されている雑味が、磨く事によって外に出て来てしまうのだろう。下手な杜氏の仕事だったり、その年の米の作柄が悪ければ、本醸造より純米酒、純米酒より吟醸酒、吟醸酒より大吟醸の方が悪くなる。この順列になったとしてもおかしくない。だから、日本酒は面白い。
先日、吟醸酒を味わう会に出席し、たまたま山梨の七賢の社長さんと話しをする機会に恵まれたが、米を磨いた酒ほどその年の米の作柄に影響し、いかに毎年同じ味にするかが難しいと云う話しを聞いた。呑んで感じた印象と理屈はいっしょだ。四合1000円の酒より四合3000円の酒の方が旨くない可能性は、その年の天候次第米の作柄次第なのだ。だが、米次第の話しなのだから仕方が無いと話しを終わらせてはまったく仕方が無い。
酒飲みは無責任だ。呑んで旨くなければ「旨くない」と云うだけ。それ以下でもそれ以上でもない。
最近、しゃれたラベルや名前の酒が目につく。おそらくは女性向けの宣伝としての結果だろう。売るためには、まず見かけからと云うのも商業主義上当たり前の事でもある。日本酒人気があるうちに名前を売っておきたい気持ちも分かる。しかし、名前やラベルの工夫だけでなく、内実が伴うものであって欲しい。酔っぱらいながらそう思った。
株式会社遠藤酒蔵場 長野県須坂市臥竜1-9-1
原材料: 米・米こうじ・醸造アルコール アルコール度数: 20度
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