純米吟醸きよせ

普段、酒を購入するのは駅前のスーパーか、立寄先のスーパーマーケットがほとんどだ。一般の酒屋ではほとんど購入しない。なぜかと云えば単純にスーパーの方が価格が安いから。
この「きよせ」は珍しく、近所の酒屋で購入したもの。大手であるスーパーは、その地域性に関係なく全国各地の酒をラインナップしている。それに比べ町の酒屋は、地元に酒蔵があればその酒を棚に並べるといった工夫をしてくれる。その地酒が旨ければ大変ありがたいのだが、必ずしもそうでないのは痛し痒し…
この純米吟醸きよせは、東村山にある「金婚」で有名な豊島酒造が醸造元だ。ちょっと変わっているのが、清瀬小売酒販組合がプロデュースしているところ。清瀬市と云っても、警察は東村山警察が管轄するなど、お隣の東村山市とは因縁が深い。そんな東村山市に豊島酒造があるのだからほとんど地元の酒蔵と云って良い。酒店の組合が地元の酒蔵に依頼して酒を造らせる、そんな過程で作られたのがこの酒と思われる。
豊島酒造の酒は過去にも数種飲んだ事があるが、総じて雑味を感じた。これは醸造が悪いとかの問題ではなく、おそらくは水が悪い。地図でも知る事のできる東村山市のその場所で、今も昔も酒を造り続けているとしたら…高度成長期までは酒造りに問題が無かったとしても、21世紀の今ではまったくの不適格地と呼ぶしかない。周囲を住宅地に囲まれ、近くを幹線道路が走り…建物の高低、交通量の桁が違うだけで都会と云って差し支えの無い場所なのだから。
いくら深い井戸を掘ったとしても、数十km四方が全て上記のような環境であれば汲み上げられる水質は知れたもの。雑味感はこうした水質の悪さから来ているのかもしれない。浄水器を使用しても、それで問題が解決するならば酒造りの苦労はどこにも存在しない事になる。
純米吟醸と呼ぶには雑味が多く、芳香が弱く、飲み口に爽やかさが無い。なんとも物足りない。地元を銘打つ酒を!! と云う心意気は買いたいものだが、やはり都会に地酒はあり得ないのだ。近隣で米は穫れず水も悪い。副次的に、空気も悪ければ振動や温度の問題も都会ならではの理由で酒造りに悪影響を与えるだろう。
もし、都会に地酒を!! と考えるのであれば、地元で造ると云う感覚からはなれ、地元の人間の口に合う酒、現代人の食生活に合う「ハンバーガーに合う酒」とか中華料理に合う酒を作らねばなるまい。
せっかく小売業の組合がプロデュースするならば、もっと戦略的に思考する必要がある。
呑みながらそんな事を考えてしまった。
豊島酒造株式会社 東京都東村山市久米川3-14-10
原材料: 米・米こうじ 精米歩合: 55% 日本酒度: +1 酸度: 1.6 使用酵母: 協会901号
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